2025年02月11日
【犬の眼のしくみ】ワンちゃんの眼の構造について
年を取ってきた愛犬が最近ものにぶつかるようになったりよろよろと歩いているときもしかしたら目に異常があるのかもしれません。ワンちゃんの眼のしくみは人と比べてどのような違いがあるのでしょうか?
この記事ではワンちゃんの眼の構造について詳しく解説しています!ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
- 犬の眼の構造と各部の名称
- 各部の名称とその役割
- 赤くなる部位
- 白く濁る部位
犬の眼の構造
はじめにわんちゃんの眼はどのような構造をしているのか、正面からみた図と断面図で見てみましょう。基本的にはヒトの眼と似た構造をしていますが瞬膜など犬や猫に特徴的な構造もあります。
各部の名称とその役割
次に上で示した図の各部の役割を一つずつ解説していきます。上の図と照らし合わせながら確認してみてください。
◆1 眼表面の構造
眼瞼がんけん
いわゆる瞼のことです。眼瞼があり瞬きができることで角膜表面の保護、眼内へ新入する光の調節、過剰な光刺激から保護を行っています。ほかにも涙を出したり排泄する機能も持っています。開眼を支配する神経は動眼神経と三叉神経であり、、上眼瞼挙筋とミュラー筋という二つの筋肉が働くことで瞼が開きます。また反対に瞼を閉じるときには顔面神経が働き、眼輪筋により瞼は閉じられます。
第三眼瞼だいさんがんけん(瞬膜しゅんまく)
いぬやねこには瞬膜と呼ばれるヒトにはない構造があります。瞬膜は第三眼瞼腺から分泌された涙液を角膜表面へと押し流すことで涙腺から出される涙液とともに涙液膜を形成し角膜表面を保護する機能を担っています。
結膜けつまく
結膜は薄い膜上の構造物で眼瞼結膜と眼球結膜に分かれます。結膜充血という場合にはこの部分が充血していることを指します。
強膜きょうまく
強膜は厚い膜でコラーゲン線維に富む構造です。眼球の形状を維持する働きを持ちます。毛様充血という充血は強膜を走る血管の充血のことを指します。
角膜かくまく
眼球の一番外側にある膜が角膜です。角膜は上皮、実質、デスメ膜、内皮の4層構造をもっています。
①角膜上皮
表層は扁平上皮細胞層、基底膜側は円柱上皮細胞層からなる重層上皮と呼ばれる構造をしています。ヘミデスモゾームという接着物質により角膜実質に接着しています。
②角膜実質
角膜の90%を占めるのがこの角膜実質と呼ばれる部分です。コラーゲン細線維が規則正しく層構造をつくり角膜の透明性を維持しています。コラーゲン細線維の間を満たすようにグリコサミノグリカンが存在しますが、実質細胞によりこれらが産生され層構造が維持されています。
③デスメ膜
内皮の基底膜の部分(内皮のうちもっとも角膜側に近い一層の膜)をデスメ膜と呼びます。
④角膜内皮 単層で正六角形の細胞からなる膜です。ポンプ機能を持ち、角膜内に房水が侵入するのを防いでいます。ヒト、犬、猫では角膜内皮細胞は再生しないといわれています。
◆2 眼内の構造
虹彩、毛様体、脈絡膜(ぶどう膜)
虹彩、毛様体、脈絡膜の三つを合わせてぶどう膜と呼びます。虹彩は瞳孔を形成し、眼内に入る光の量を調節しています。散瞳は交感神経支配のもとで瞳孔散大筋によって虹彩が縮むことでおこり、反対に縮瞳は副交感神経支配のもとで瞳孔括約筋により虹彩が広がることで起こります。また虹彩は角膜とともに前房及び隅角を形成しています。
毛様体は房水の産生を担っています。これにより眼球の内圧を一定に維持しています。更にチン氏小体が付着しており、水晶体を支持する役割もあります。
脈絡膜は網膜の外側に位置し、網膜に栄養を送っています。タペタムも脈絡膜の一部に含まれます。
(タペタムは輝板ともいわれ光を反射する役割を持つ膜)
水晶体すいしょうたい
水晶体は血管、神経を持たない透明な組織です。光の屈折を担い、網膜に焦点を合わせる働きを持っています。水晶体は嚢、皮質、核からなり、35%がタンパク質、のこりの65%が水で構成されています。水晶体タンパク質は臓器特異的で、胎生期初期に隔絶されて免疫寛容が成立しないため、白内障や、白内障手術の際に水晶体成分が嚢外に漏出するとぶどう膜炎が引き起こされます。
硝子体しょうしたい
硝子体はゲル状の構造物であり、眼球内で最も大きな体積を占める部分です。
網膜もうまく
眼球の最も内側に存在する膜で、10層からなります。大きく分けると神経網膜層と網膜色素上皮に分かれます。網膜に存在する視細胞と呼ばれる細胞(桿体細胞、錐体細胞)は視覚情報を処理し、視神経に伝える働きを担っています。
視神経乳頭ししんけいにゅうとう
視神経が一箇所に集まって眼球がへと出ていく場所は乳頭状の外見を呈するため視神経乳頭と呼ばれます。視神経は網膜からの刺激を脳に伝える重要な役割を持っています。
目に異常があるときに赤くなる部分
目に異常が起きた時には赤くなる部分と白くなる部分があります。ここでは赤くなる部分について解説します。
目に異常が起きたと気に赤くなる部分は主に結膜、角膜、強膜、眼内の4か所です。
①結膜
表在性の炎症や刺激により、結膜に分布する小血管や毛細血管への血液の流入量が増加することで結膜が赤くなります。結膜の充血は特に結膜充血と呼ばれます。
②強膜
強膜は結膜の下に位置し、眼球の形状を維持する厚い膜のことです。外界からの強い刺激や深層性の炎症により、血液流入が増加することで赤くなります。強膜の充血を特に毛様充血といいます。
③角膜
角膜は正常であれば血管を持たない組織です。角膜に血管新生が起こっている場合には赤く見えることがあります。血管新生には表在性血管新生と深層性血管新生の二つがあります。
表在性血管新生 涙液や酸素の不足によって角膜上皮障害が起きると表在性血管新生が起きます。
深層性血管新生 深層性血管新生は角膜実質内で炎症や浮腫が持続した場合に見られます。
④眼内 眼内が赤くなるのはぶどう膜炎や網膜剥離により虹彩、毛様体、網膜に出血がみられた場合です。
目に異常があるときに白くなる部分
反対に目に異常があるときに白くなる部分は角膜、前房、水晶体の三か所です。
①角膜
角膜が混濁するのは涙液膜、角膜上皮、実質、内皮に構造的な異常が生じた時です。
①涙液膜の異常
涙液膜は油層と水、ムチン層の2層構造をしています。油層は涙液の水成分が蒸発するのを防いでいます。涙液膜は角膜の乾燥予防、感染からの棒業、酸素の供給を見なっており、光学的に平滑を保つ働きもあります。涙液膜が破壊されるとこれらすべての働きが失われ、角膜は混濁してしまいます。
②角膜上皮の異常
角膜上皮の構造に異常が生じると角膜上皮細胞の規則正しい配列が崩れて光が乱反射し、また上皮細胞の欠損により涙液が角膜実質に侵入して角膜浮腫が起こるため角膜が混濁します。
③角膜実質の異常
角膜実質の構造に異常が生じるとコラーゲン細線維の規則正しい配列が崩れ、光の乱反射が生じ、角膜混濁となります。上皮側または内皮側のどちらの障害によっても角膜実質内に水が侵入し、コラーゲン細線維の層構造が崩れることになります。
④角膜内皮の異常
角膜内皮細胞の構造が壊れると内皮細胞のポンプ機能も失われ」、房水が角膜実質内に侵入し、コラーゲン細線維の層版構造が崩れて角膜混濁が生じます。
②前房
前房は角膜と虹彩の間の領域を指し、正常な状態では毛様体から産生される房水で満たされています。房水は無色透明な液体であるため、角膜を通して虹彩の構造がはっきりと確認できます。房水が無色透明を維持しているのは房水内に細胞成分が滲出しないように血液房水関門がろ過の働きをしているためです。つまり房水の混濁は血液房水関門が破綻し、炎症細胞や脂質などが房水中に進出していることを示しています。
③水晶体
水晶体は角膜と同様に血管が走行せず、さらに神経も存在しない組織です。正常な状態の水晶体組織は無色透明であり、嚢、皮質、核のいずれかが一部でも混濁した状態を白内障と呼びます。水晶体が混濁して見えるのは水晶体内のタンパク質が変性するためだと考えられています。
痛くなる部位
では目が赤くなったり白くなったりしたときにワンちゃんが痛いと感じる部分はどこなのでしょうか。眼球の中で痛みを感じる部位は角膜と、虹彩、毛様体(前部ぶどう膜)です。分布している痛覚神経は三叉神経の眼神経枝です。
①角膜(眼球表面の痛み)
角膜の感覚神経は表層(角膜上皮内、上皮下)及び深層(実質の深部)に分かれて分布しています。深さによって刺激を受容する繊維が異なります。
表層枝が痛みを生じるのは涙液膜の異常、角膜上皮びらん、上皮から実質浅層までの角膜潰瘍などです。
深層枝が痛みを生じるのは実質深層に及ぶ角膜潰瘍や角膜穿孔、緑内障、ぶどう膜炎などの眼内に及ぶ炎症です。
②前部ぶどう膜(眼球内の痛み)
三叉神経の眼神経枝は前部ぶどう膜にも分布し、眼内の痛みを受容しています。ぶどう膜炎や緑内障などによる眼内の痛みは角膜深層の神経とぶどう膜を走行する神経が感じています。
まとめ
この記事ではワンちゃんの眼の構造について詳しく解説しました。とても詳しい内容も含んでおり、専門的な用語も多かったと思いますが獣医さんに説明を受ける際に大まかな目の構造だけでもしっていると説明が理解しやすいかもしれません。
ぜひ参考にしてみてください!
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【老犬の心臓病】僧帽弁閉鎖不全症の症状・原因・治療法を詳しく解説
【老犬の目の病気】老犬がかかりやすい目の病気を紹介
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参考にした文献
鑑別診断の手引き 眼からイロイロ 都築圭子