【犬猫の血液検査の読み方】赤血球値の異常のよみかた

2025年09月01日

犬猫の血液検査の読み方~赤血球の変化~

犬猫の血液検査

はじめに

大切なわんちゃんや猫ちゃんの健康診断や体調が悪くて獣医さんに診てもらった際、血液検査をしてもらうことはよくありますよね。そんなとき獣医さんは異常のあった数値について丁寧に説明してくれると思いますがなかなかその場で理解するのは難しいもの。少しでいいので自分で血液検査を読めるようになりたいと思う飼い主さんは多いのではないでしょうか。この記事では血液検査の各項目についてそれぞれの値がどのような疾患の可能性を秘めているのか、大まかに説明していきたいと思います。ぜひ読んでみてください。

 

赤血球

この記事で説明するのは赤血球値の変化について。それぞれの項目について説明するためにまずは赤血球とは何なのかについて説明します。

赤血球は血液中に含まれる血球のひとつで主に酸素の運搬の役割を担っています。そのほかにも二酸化炭素、薬物、毒物の吸着と運搬という機能を持つ、無核の細胞です。血液検査において赤血球が減少するという事は何らかの原因で赤血球の数が減少し酸素の運搬能力が落ちていることを示します。また反対に赤血球の数が正常よりも多い場合、血液の粘稠度がましドロドロになってしまうため血液の流れが悪くなってしまいます。これらの異常を検知するために赤血球値の判断は重要なものになります。

 

赤血球の評価に関係する項目

血液検査には様々な項目がありますが赤血球の評価に関係する項目はCBCの項目にあるRBC赤血球数、HCTヘマトクリット、HGBヘモグロビン、MCV平均赤血球容積、MCHC平均赤血球血色素濃度、RETIC網状赤血球です。

 

RBCはそのまま赤血球数、ヘマトクリットは血液全体に占める赤血球の割合、ヘモグロビンは赤血球中に含まれる酸素と結合する物資、MCVは赤血球一個当たりの大きさ、MCHCは赤血球一つあたりの平均的なヘモグロビンの量を示す指標です。

ではそれぞれの数値の評価の仕方について、赤血球が増加するパターンと赤血球が減少するパターンに分けて説明します。

赤血球増加症

赤血球が増加するような病態としては相対的赤血球増加症と絶対的赤血球増加症の二つが考えられます。

相対的赤血球増加

相対的赤血球増加とは赤血球の数自体が増えているわけではなく、赤血球を溶かす血液量が減ってしまうことにより相対的に赤血球系の数値が高く出てしまうことです。原因としては主に二つが考えられ、脱水と出血性胃腸炎です。絶対的赤血球増加症との見分け方は臨床症状として脱水の所見がみられることとTPの値が増加することです。

出血性胃腸炎では明確な脱水所見がみられないこともありますがこれもやはり血液の凝縮によりTP の値は上昇するはずです。

絶対的赤血球増加

身体検査やヒストリーから脱水や出血性胃腸炎が除外され、そのうえで赤血球系の3つのパラメータ(RBC、PCV、Hb)の上昇がある場合には絶対的赤血球増加症が疑われます。絶対的赤血球増加症もさらに2種類に分けられ、二次性の赤血球増加症と真性赤血球増加症のどちらかに分類されます。

二次性赤血球増加症

エリスロポイエチン濃度の増加による赤血球生産の更新が原因となる赤血球増加症です。エリスロポイエチンは腎臓で作られ赤血球が生産されるのに必要となる物質ですが、例えば心疾患、呼吸器疾患、または腎臓における腫瘍によって増加します。

真性赤血球増加症

脱水や出血性胃腸炎の所見がなくかつエリスロポイエチンの増加も見られない場合、慢性骨髄増殖性疾患である真性赤血球増加症が疑われます。これは赤血球が骨髄において作られる際に腫瘍化によって制御不能に増殖することで起きる疾患ですが、通常腫瘍性疾患にみられるよな異形成を伴わないため確定診断は非常に困難になります。

貧血

赤血球増加症と反対に赤血球系の値が減少するのが貧血です。貧血にもまた再生性貧血と非再生性貧血の二種類がありますがまず初めに重症度の評価について述べます。

重症度を評価するにはヘマトクリット値(HCT)を参照します。

 

 

軽度 30~基準値の下限 25~基準値の下限
中等度 20~30 15~25
重度 <20 <15

ただし例えばミニチュアダックスフンド、グレーハウンドなどはもともとHCTが高い犬種として知られています。そのため数値上あまり重症でないように見えても実際には重度の貧血の場合もあります。決められた基準値と照らし合わせるだけでなく普段の数値と比較して考えるのが良いでしょう。

再生性貧血

再生性の貧血とは出血や溶血などが原因で骨髄での赤芽球系成熟過程には問題がなく、抹消における種々の原因による破壊の亢進、寿命の短縮、あるいは失血などが原因になることで起こる貧血です。つまり赤血球は一時的に減った状態ですが新たな赤血球は作られている状態です。再生性か非再生性かを見極めるのに必要になるのがMCV、MCHC、RETICの値です。再生性貧血の場合MCVは高くMCHCの値は低く出ることが多いです。またRETICは網状赤血球とよばれる未熟な赤血球を表しますがこれが血中に出てきているという事はすなわち減った赤血球を補うために骨髄が頑張って新たな赤血球を造血し、足りない分が未熟なまま出てきていることを表します。網状赤血球の絶対値の基準値は下に示す通りです。しかし評価のしかたは貧血の度合いに応じて変わるため必ずしも正確な値とは言えないでしょう。

 

再生の度合い
なし <60,000 <15,000
軽度 6,000~150,000 15,000~50,000
中等度 150,000~300,000 50,000~100,000
中等度~顕著 300,000~500,000 100,000~200,000
顕著な増加 >500,000 >200,000

さらに出血と溶血を見分ける鑑別ポイントとしてTP の低下、BUN の上昇は出血のみに見られ、ヘモグロビン血症/尿症、ビリルビン血症/尿症などは溶血のみで見られます。

非再生性貧血

非再生性貧血には二種類の原因があり、造血因子の不足もしくは骨髄障害です。また出血や溶血の直後には非再生性と似たような血液検査の結果が出ることもあるので注意しましょう。まず造血因子の不足について。動物の造血には腎臓から出されるエリスロポイエチン、甲状腺ホルモン、副腎皮質から出されるグルココルチコイド、ビタミン、鉄などさまざまな因子がかかわっています。これらのいずれかが不足すると非再生性の貧血を起こします。例えば腎不全、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、消化器疾患、慢性疾患、慢性炎症などが具体的な疾患です。

骨髄障害としては非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)や赤芽球癆(PRCA)、無効造血、骨髄癆、再生不良性貧血などがあげられます。

これらの疾患については血液検査だけでの診断は難しく別途骨髄検査や塗抹検査など様々な追加検査が必要になります。

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